第47回衆議院議員総選挙に向けて

 *以下は、2014年11月に書かれたものです。


 皆さん、こんにちは。助兵衛です。

 安倍晋三(内閣総理大臣)は、衆議院の解散を示唆し、党内でも選挙準備にかかるよう指示したと言われています。これに関連して、今後のあり方等について、考えてみたいと思います。
 なお、以下では、ほぼ確実と考えていますが、解散総選挙が行われることを念頭に述べていますので、解散が中止や延期になった場合は、この限りではありません。

 まず、今回の解散には大義名分はまったくありません。何のための解散総選挙なのか、不明です。小泉純一郎さんがかつて行った郵政解散、あれは参議院で否決されたから衆議院を解散するという不可解なものでしたが、それに匹敵するほどの不可解さです。
 アベノミクスがある程度成功しているうち、より正確な表現をするすなら、その余韻が冷めないうちに選挙をしておこうということでしょうか?
 アベノミクスはほころびが生じてきています。消費税増税を延期するという動きが出てきたのも、このためです。予定通り消費税増税をしていたら、ちょうどその頃、とんでもない不景気に陥っているでしょう。経済や経営についてある程度以上の知見があれば、このぐらいの予測は容易にできます。そうなってしまった後で総選挙をしていたら、前回の民主党が大敗したように、自民党も大敗し、多くの議員が職を失う恐れがあります。
 これに関連して、現在、野党側の足並みがそろっておらず、今のうちに戦っておいた方が良いというもくろみもあるでしょう。民主、維新、みんな、などの野党各党は、大同団結というにはほど遠い状況です。これらが団結してしまうと、自民党にとっては脅威となりますが、今のところは大丈夫です。各党、ばらばらですし、それらをまとめきるだけの器量を持つ人物も今のところいません。安倍政権を倒し、以前の民主党政権に戻すべきだと考える国民はほぼ皆無でしょう。
 こうした情勢を鑑みれば、突如降って湧いたかのような解散モードは、安倍晋三や自民党にとっては、たいへん好都合なのです。江田憲司(維新の党共同代表)の言う「究極の『自己中』解散」という表現は、たいへん興味深いですね。
 それでも、解散されれば選挙にはなるのです。
 そこで、今回の選挙の争点となるであろう項目について、いくつか述べておきたいと思います。

 消費税をどうするのか?

 消費税は平成26年4月に従来の5%から8%へ引き上げられました。そして、翌平成27年10月には、10%への引き上げが予定されています。これを延期するかどうかが一つの争点となるでしょう。
 しかし、延期するかしないかではなく、そもそも消費税自体の存在に疑問を持たざるを得ないように感じています。なぜ消費税が必要なのか? 消費税を上げて景気が良くなったのか? 歴史的に、消費税を上げて景気が良くなった試しはないのです。これは日本だけでの話はありません。現在、景気が良くなったかに見えていますが、日銀が金融緩和を強行したからで、鬱状態の患者に抗うつ剤を過剰に投与して、元気になったかに見せかけているのと同じなのです。抗うつ剤と言えばまだ聞こえは良いでしょうが、要するに麻薬ですよ。麻薬を打って元気になったとして、その後どうなるのでしょうか? もちろん、そのツケは後から何倍にもなって跳ね返ってくるでしょう。治療現場(特に緩和ケアなど)では、さらに麻薬を投与したら良いでしょうが、金融緩和は何度もできるものではありません。実際、これが最後だろうとも言われています。逆に言えば、金融緩和をして、市場や国民の目を欺かなければならないぐらいに、アベノミクスにはほころびが生じているということなのです。我慢できる痛みなら、患者も我慢するでしょう。あるいは、簡単な鎮痛剤で間に合うでしょう。では、麻薬を打つのはどういうときかを考えれば、分かっていただけるだろうと思います。そして今は、まだ麻薬の効き目が残っています。だから今、このタイミングで選挙をしておきたいわけですね。
 消費税に関しては、10%への引き上げは断じてしてはいけません。延期ではなく、中止です。さらに、現行の8%を5%に引き下げ、最終的に消費税を廃止すべきです。すぐにできなくても良いですが、段階的に引き下げ、最終的に無くす。これが私の考えでもあり、大日本皇國党でも、この方向で訴えていきたいと思っています。まずは10%への引き上げを阻止し、次いで5%への引き下げを検討し、最後に廃止を議論する。これを何年もかけて実施したいと思っています。

 原発は再稼働すべきか?

 東日本大震災と福島第一原発の事故以来、原発に対する不安が取りざたされています。原発の稼働それ自体に反対する意見も多数ありますが、私は原発の再稼働には賛成です。今すぐ、国内で動かせることができる原発は稼働させるべきです。
 日本は資源に乏しい国です。大東亜戦争に突入した経緯について、ご存じでしょうか? 日本に資源があったなら、大東亜戦争など起きていなかったかも知れません。
 原子力発電は、日本が自前でエネルギーをまかなうために必須のものです。原発が停止されていると、火力発電に頼るしかなく、石油などを海外から調達しなければなりません。電気料金は当然ですが割高になり、しかも日本の富の一部が海外に流出してしまいます(石油の購入等を名目とした資金として、という意味)。
 将来的にエネルギー問題をどうするのか、という「脱原発」の意見は分からないわけではありません。確かにこれまで、我が国は原発に依存しすぎていたかも知れません。原発は危険なものであるのに、その点を充分に認識できていなかったかも知れません。だから、将来的に原発をそうするのか、代替エネルギーを確保できるのか、などは当然議論されて良いし、議論しなければならない問題です。
 しかし、これと、今すぐ何が何でもすべての原発を止めるべきだという「反原発」とは違います。この意見には、具体的なビジョンがありません。何でも反対と叫んでいる人たちがいますが、それと同じです。教師の言うことは何でも反対、という反抗期の少年と同じ精神構造です。彼らの街頭演説を聴いていても、その未熟さが分かります。要するに「原発は危険です」とことさらにあおり、「だから廃止すべきです」を、言葉を換え、表現を変えて繰り返しているだけです。それ以上に建設的な意見も何もありません。なぜなら、建設的意見を言えるほどの知見を持ち合わせていないからです。なぜ日本に原発があるのか、なぜ必要なのか、自分たちの生活にどれだけの電力が必要なのか、原発を止めてこれらをそう確保すべきなのか、彼らに聞いてみたら分かります。すっきりする回答が返ってきた試しがありません。(期待もしていませんが)
 政治とは、好き勝手に発言する場ではありません。もちろん、不良少年が先生に反抗するための場でもありません。国民から信託を受け、大切な税金を使い、政策を実現させるためにあるのです。反対運動をしたいのであれば、個人的に、あるいは有志で、デモでもやっていれば良いのです。
 もっと根深い話をしておくと、原発反対とは、国家転覆の思想につながるのです。日本の国力を弱めることに何のメリットがあるのでしょうか? 節電を呼びかけること自体は悪いことではなく、無駄な電力消費は控えるべきでしょうが、必要な電力消費までセーブするように呼びかけるのは、適当とは言えません。そのことは、日本の経済活動、企業活動にとって大きなダメージとなります。これがやがて、国力の低下に結びつくのです。
 日本の国力が低下して喜ぶのは、誰でしょうか? その代表選手は、中国や韓国でしょう。つまり、原発反対を叫んでいる人たちは、うるさいだけではなく、日本国内にいながら、中国や韓国を利することをしているのです。それを分かっていてやっている人もいるでしょうし、分からずにやっている人もいるでしょう。しかし、知らなかったでは済まされません。スパイにとって最も重要なのは、相手の情報を盗み出すことではなく、自分がスパイであることを悟られないことです。そして、自分がスパイであることに気づかれないようにしながら、相手の判断を誤らせることです。もちろん、自分に有利に、相手に不利になるように誤らせることなのです。ライバル会社に忍び込み、情報を盗み出すことができても、それだけでは目標の半分も達成できていません。情報を持ち帰って終わりなら、せいぜいライバル企業に追いつくか、その一歩手前で終わりです。自社が勝つためには、相手を陥れなければならない。そのためには、ライバル企業の経営判断を(自社に有利になるような形で)誤らせ、自社はそこにつけ込むことが必要なのです。
 日本のエネルギー政策について言うならば、原発の再稼働を封じ込めておいて、エネルギーを持つ自国に依存させてやろう、自国の資源を高値で売りつけてやろうという国々によって「反原発」運動は仕掛けられているとみるべきです。

 集団的自衛権は行使すべきか?

 集団的自衛権の行使について、憲法の解釈上認められるか否かが議論になっていますが、まず、日本国憲法(九条)は自衛権の行使までは禁じていません。外国が攻めてきた場合、指をくわえて見ておきましょうなどという憲法はどう考えてもおかしいし、そんな解釈もあり得ない。あくまで、侵略戦争を放棄した、というだけのことです。そもそも自衛権は、憲法があるかどうかにかかわらず、万国共通に認められるものです。
 たとえば、道を歩いていて他人が殴りかかってきた場合、黙って殴られろと言う人はいないでしょう。逃げるか、よけるか、反撃するか、何らかの抵抗はすると思います。このうち、反撃する場合、反撃したせいで相手をケガさせてしまう可能性があります。もちろん、軽く殴りかかってきただけの相手が反撃を受けて死亡した、などというのは、さすがにひどすぎるだろうと判断されますが、転んでケガをするぐらいのことは容認されています。これは法律上は正当防衛と呼ばれるもので、通常は相手にケガをさせてしまったら傷害罪になりますが、正当防衛が認められると、無罪になります。たとえば、刃物を持って襲いかかってきた通り魔から身を守るために、通り魔を突き倒したところ、当たり所が悪くて通り魔が死亡してしまった、という場合も、殺人にはならない可能性が高いです。殺すつもりで突き飛ばしたとなれば、ちょっと難しいでしょうが、そうでもなければ無罪なのです。これは法律用語では違法性阻却事由と呼んでいます。
 さて、では、彼氏と彼女がデートをしているときに通り魔が襲ってきたらどうなるのでしょうか?
 彼女が襲われようとしているときに、彼氏は助けようとするのではないでしょうか? 彼女を守るために彼氏が通り魔を突き飛ばす行為、これも正当防衛に当たります。正当防衛が認められなければ、おかしいですよね。彼女がやられるのを指をくわえて見ておけと彼氏に言えませんよね?
 でも、集団的自衛権の行使に反対する立場の意見では、「彼氏さん、あなたが襲われたなら反撃してもいいですよ。でもね、彼女はあなたじゃないですよね。だから、彼女が襲われても、あなたが反撃してはいけません」と言っているのです。女性の方ね、自分が襲われてても見て見ぬふりしてぼーっと突っ立っているような彼氏と付き合いたいですか? 自分が襲われて今にも殺されそうになっていても、何もしてくれないんですよ。あるいは、レイプ魔に服を脱がされて、自分は力一杯必死に抵抗しているのに、それでも力及ばずにレイプ魔の勃起したペニスが自分の膣に挿入され、コンドームも着けずに、今まさに射精しそうな状況にあると想像してみてください。それでも彼氏は見てるだけなんです。これでいいと思いますか?
 集団的自衛権に反対する立場は、まさに見て見ぬふりの彼氏になれと言っているのです。日本が国際社会の中で、見て見ぬふりをする彼氏のような振る舞いをしろと言っているのです。そりゃ、外国で起きた戦争に出て行かなくて済むから、犠牲も出ないでしょう。自分が犠牲にならなければ、それでいいのでしょうか? 自分の彼女が目の前で襲われていて、助けようとしたら自分もケガをするかも知れないから、助けないで見ているだけ、これがいかに身勝手なことか、考えていただければ分かると思います。

 社会保障をどうするのか?

 先ほど、消費税を上げてはいけない、むしろ減らすべきだと述べました。すると、社会保障をどうするのかという疑問が生まれると思いますので、最後にこの点をまとめておきたいと思います。
 近年の少子高齢化は、深刻な問題になっています。何がどう深刻かと言い始めると、とても長くなってしまいますから、簡単にまとめると、まず、高齢者を経済的に支えている年金制度は現役世代が納める保険料でまかなわれていますが、受け取る高齢者が増え、納める現役世代が減ると、当然ながら、現役世代の負担が増えるか、受け取る高齢者の受け取りが減るかのどちらかを迫られることになります。そして受け取りを減らすわけにはいかないので、現役世代の負担が増える一方なのです。
 次に、年金だけではなく、介護の問題があります。高齢者が増えても、みんな元気でいてくれるなら、それで良いのですが、実際には、生きていくのに介護が必要な人たちが多く、しかもどんどん増えてきています。昔は介護が必要なお年寄りは少なかったし、仮にそういう人たちがいても家族で介護していました。だから、介護は社会問題とはならなかったのです。しかし、人々の生活スタイルが変化し、高齢者が子や孫と同居する割合が減少し、高齢者のみの世帯や高齢者の単身世帯が増加している昨今の情勢からは、家族で介護してくださいということは事実上不可能になってきています。都市化や過疎化の問題もあり、特にかつて高度経済成長期に若者が流出した地方では、当時親世代だった人たちが高齢者になり、介護の担い手がいないので高齢者が高齢者を介護するという問題も出てきています。
 こうした状況の中で、介護を各家庭に任せるのではなく、公的なサービスでやっていきましょうというのが、介護保険なのです。
 介護保険は、介護保険料を徴収して運用していますが、税金も入っています。介護に必要な財源の確保は、現在もこれからも大きな課題となります。もちろん、介護には財源の確保と併せて人材の確保も重要な問題です。介護の仕事をしている人、資格を取得している人は一定数いるものの、資格はあるけれど介護の仕事はしたくないという人も多いのです。その主たる理由は、給料が安いからです。しかし、給料を上げようと思うと、介護保険や税金からの負担が増えるので、これは最終的には国民の負担に跳ね返ってくるのです。
 また、介護以外の社会保障で言うならば、生活保護の問題もあります。不正受給は論外としても、働くより生活保護を受け取った方がマシだと考え、いつまでも生活保護制度に依存している人たちも少なくありません。生活保護は税金でまかなわれているので、こうした人たちが増えれば増えるほど、税金からの負担が増えることになります。
 そこで税金を上げるべきだという議論になっていくわけですが、これはおかしいと思っています。
 では、消費税を上げずに社会保障費をどう抑えていくべきかについて、まとめておきたいと思います。
 まず、介護を受けた際の本人負担が現在は1割となっていますが、これを医療保険並みの3割に引き上げます。1割であれば、気軽に介護サービスを利用できてしまうので、たとえば掃除や洗濯などの家事援助はある程度まとまってやってもらうようにすることで、利用を減らすことができます。利用を減らしたいなと高齢者に考えてもらうためには、やはり利用者負担を増やすことが有効です。かつて老人医療費無料化が行われたとき、無駄な医療機関の利用が問題になりました。自己負担がなかったり、少なかったりすると、人は誰でも、不必要な利用をしてしまうものです。本当に必要な人が、効率よくサービスを利用するためには、自己負担割合を増やすことが有効であり、また合理的な判断でもあると考えます。
 次に生活保護に関しては、現在、医療及び介護の扶助を除き現金で給付されていますが、これを現物給付に見直していきます。現物給付と言っても配給のようなことをするのではなく、電子マネー「namapo(ナマポ)」を新しく作り、その電子マネーに必要な金額をチャージして渡すようにするのです。当然、電子マネーは日用品の買い物等には使えますが、パチンコなどには使えないように設定します。行政機関が予め認めたところでしか使えないようにするのです。
 電子マネーなら、量販店では使えるが、高級店では使えないといった細工もできます。具体的には、スーパーやドラッグストアでは利用できるようにしておきますが、百貨店では使えないようにすべきです。生活保護受給者が百貨店で買い物をする意味が分かりません。最低生活という視点で考えると贅沢すぎるでしょう。他にも、コンビニでは使えないようにした方が良いでしょう。コンビニは便利さを追求するがその分金額も高いのです。コンビニで使えるようにしてしまうと、安易に割高な買い物をさせてしまいます。その意味では、定価よりも安く販売しているような店舗であれば、積極的に活用するようにすべきです。具体的には、金券ショップなどです。切符を定価で買うのではなく、金券ショップで買ってもらうことで、支出を抑えることができます。倹約家がしているような工夫をせめて生活保護受給者も心がけるべきです。そしてそう仕向けるために、電子マネーを導入し、購入履歴などを調べてみて、経済的でない利用があれば、より経済的な利用を指導するといったことも、行えるようになります。
 もちろん、いきなり電子マネーを導入すると言えば反対が出るでしょう。プライバシーの侵害だと言うと思います。しかし、公的な資金を使うのだから、プライバシーはある程度制限を受けても仕方ないでしょう。政治資金の収支報告も、あれは財源が税金だから求められているものです。生活保護も同じです。もちろん、プライバシーへの配慮として、生活保護の担当者しか閲覧できないようにしておく必要はあるでしょう。
 そして、なるべく抵抗を少なく利用を呼びかけるアイデアも考えています。最初のうちは、現金給付か電子マネーかを選択できるようにしておきます。ただし、電子マネーを利用した場合には、利用額に応じて「namapoポイント」を付与するようにしておきます。これがなんと、購入額の8%です。全品8%ポイント還元のカードがあれば、ほとんどの人が飛びつくでしょう。この8%には根拠があります。そう、消費税です。消費税分を免除しようというのです。考えてみてください。生活保護受給者には税金から現金が支給されているわけですね。それで買い物をするわけですね。そしてそこから消費税を払っているわけですね。要するに、税金から消費税を払っているのです。だから、その分を止めてしまっても影響はないのです。本来は生活保護受給者は消費税非課税にできれば良いのですが、店頭でそれをするのはたいへんです。だから、電子マネーを使ってもらい、いったんは消費税を課税するけれど、その分はポイントで戻す。そうすると、現金より電子マネーの方がいいという考えが浸透してくるから、どんどん利用者は増えると思います。そのうちに、電子マネーに完全移行すれば良いのです。パチンコに使いたい人などは、それでも抵抗するでしょうが、抵抗するかどうかで、健全な使い方をしようとしているか、そうでないかは分かります。後ろめたいことがあるから抵抗するのですから。
 なお、(カードに顔写真を入れる等の工夫をして)転売等はできないようにします。また、福祉事務所以外でチャージはできません(万一、第三者の手に渡ってしまったとしても、次回のチャージができないから、すぐ使えなくなる)。もちろん、換金もできません(金券ショップ等で換金した場合、換金した本人はもとより、換金に応じた業者も罰せられるようにしておきます)。
 こうして、少しずつ社会保障費を抑えていくべきだと思います。


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