第4回「サービス業としてのデリヘル」
デリヘル談義

 デリヘルの魅力とはなんだろうか? そもそも、どういうサービスなのだろうか? 今回はこのことを改めて考えてみたい。(非常に初歩的な話をくどくど書いている点はご容赦願いたい)

 まず、デリヘルはサービス業である。サービス業は農林水産漁業などのように何か具体的なものを採取してそれを消費者に提供するわけでもなければ、製造業のように商品を売って対価を得るという方式でもない。ものを提供するのではなく、その代わりに、サービスをすることで消費者から対価を得ている。これは接客業に代表されるように、人が人に対して何かを提供して報酬を得るという方法で、病院も学校も老人ホームも同じである。学校では教員が作成したプリントが配布されるし、教員がその教材を作成しているという意味で所有権の移転は存在するが、教材の作成が本来業務ではなく、それらを使って授業をすることが主目的である。そして、授業それ自体には何かを生み出すのではなく、知識の伝授が行われ、それによって学生が満足することで成立している。効用を得るということもあるが、要するに満足するということだと思って差し支えないだろう。
 そうすると、サービス業とは、サービスを提供する側が利用する側に何らかの満足を提供することということになるだろう。不満があれば、利用者は二度とそのサービスを利用しない。聞く価値のない授業にお金を払って聞きに行くことは(それが卒業のために必要な場合などを除けば)利用者側は回避する行動に出るだろう。あるいは、他の選択肢を模索するかも知れない(別の先生の授業を受けるなど)。医師の診断に不満があれば、別の病院に行くだろう。教師も医師も、定められたサービス(授業や診察)だけをこなしておけばよいのではなく、学生や患者に満足してもらうように努める必要がある。これがサービス業だ。学生は学ぶこと、知識が深まることをのぞみ、患者は治ること、自分の病状を知ることを望んでいる。

 では、デリヘルではどうだろう? 客は何を望んでいるのだろうか?
 もちろん、客の一人ひとりで求めているものは異なる。しかし、自分の性的欲求が十分に満足しているという状態で、デリヘルを呼ぶだろうか? おそらく答えはノーである。つまり、性的な満足を求めているのだ。
 ということは、デリヘルの使命は客に性的な満足を与えることである。ゆっくりと話がしたい人もいれば、つかの間の恋人気分に浸りたい人もいる。テクニックを求める客もいれば、客が女の子を責めることで興奮したい客もいる。大切なことは、主導権は女の子ではなく、客の側にあるということだ。そうでなければ、客が満足してくれることはないだろう。
 もちろん、女の子にとって、してほしくないことはあるだろう。彼氏がいるのでキスはどうしてもできないという女の子もいた。テクニックを求めている客の場合はこれで問題ないのだろうが、たとえば恋人気分に浸りたいと願っている客の場合、これでよいのか? 仮に断るとしても、断り方次第で大きく変わってくる。「ダメです」とただ拒否するだけと、恥ずかしそうに謝って、「お願いします。キスは勘弁してください」と懇願するのと、大違いだと思う。私は前者の女の子は二度と呼ばなかったが、後者の子は何度も遊ぶことになった。「キスしよっか」と誘い、毎回同じ事になるのだが、それを楽しんでいた。相手もおそらくそれを分かっているから、強引な行為として告げ口したりはしなかった(と思う)。
 彼女がいて、常に性欲が満たされている客の利用は相対的に少ないといってよい。むしろ、セックスをする相手がおらず、現実社会では女を抱くことすらできない人たちが利用していることが多いだろう。そういう人たちが何を望んでいるのか。実社会ではしたくてもできない女の子とのスキンシップであり、恋人気分を味わうことだ。女の子を気持ちよくさせることで満たされることも多い。その場合、男に遊ばせてあげるのがよいだろう。もちろん、暴力を用いたり、痛いことをされたりした場合は、そのことを伝えて拒否したらいい。いくら客といえども、そこまでやる権利はない。
 女の子の言い分としては、自分は仕事として割り切っているのだから、それを分かってほしいというものがある。もちろんそれはその通りなのだが、それでもなお、恋人気分に浸りたい男にとって見れば、遊んでいるわずかな時間だけでいいから、そんなことは忘れて遊びたいのだ。心で何を思っていても構わないが、それを表に出さないことだ。病院に嫌な患者が来たからといって、医師が診察を拒めないし、嫌な雰囲気を出せないのと同じだ。
 ビジネスとプライベートを分けることは、誰にも大切なことだ。しかし、デリヘルの場合、客の自宅でサービスを提供するわけで、その意味では客にとってはプライベート空間である。女の子にプライベートな質問をする場合もあるだろう。それを嫌がる女の子も多いようだが、まともに受けてはならない。自分のプライベートをさらけ出さなければならないと思うと腹が立つだろうが、相手はそんなことを望んでいるわけではない。その気にさせてくれればよいのだ。だから、女の子は自分のプライベートがフィクションであっても構わない。むしろ、男が喜びそうなフィクションを用意しておくのも得策だろう。身長や胸の大きさに嘘はつけなくても、彼氏の有無や初体験の時期などは相手に分からないことなのだ。
 女の子はビジネスであることは百も承知だが、それでもなお、そのことを前面に出さず、心の中にしまっておく方がよいだろうと思う。ビジネスモードを前面に出さないことこそ、デリヘルのプロといえるのではないだろうか。プライドを持つことは大切だが、プライドを持って働くことと、それを前面に出すこととは違う。相手の満足を低下させるようなプライドは隠すことだ。それができてこそ、自分の職業に誇りが持てるというものだ。そして、客からたくさん指名をもらえるようになれば、しめたものだ。



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